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田中郁雄さん さようなら
東光産業株式会社本社完成
ついに千葉邸完成しました
ついに千葉邸完成です。
建築設計を仕事にしている人には、乗り越えなければいけない試練がいくつかあります。
1級建築士合格も当然そのうちのひとつですが、自邸を計画することも、重要なひとつです。
設計者としての思想そのものに深く関わる問題になるからです。私はお客様から依頼され、過去に何棟もの「家」を設計して建ててきました。
30代の後半のある時、クライアントから、曽我さんはどんな家に住んでるの?聞かれ「中古の古い家を買って住んでいます。」
答えるのに、恥ずかしい思いをしたものです。42歳のとき、世の中かなり不景気でしたが、意を決し、土地を購入し、設計し、自邸を建てました。遅いほうだと思います。年をとればとるほど残された返済期間も短くなるし、早いに越したことはない。しかし設計者としての考えが熟してからと思っていました。42の厄年ではじめる、それが私流です。しかし子供の養育費や、生活費や、なにやらで、さほど貯金がない。あるようでないのがお金です。家内から通帳をみせてもらっとき、絶望しました。
いくら融資していただけるか?銀行との打ち合わせ、そこからがスタートです。
そして、土地と建物に予算を振り分けて、スケジュールを組んで、返済計画を立て、支払っていけるのか?家族会議が始まります。
そして、ピタットハウスに相談し、土地を見つけていただきました。土地には縁というものがあります。いくつか見せてもらった中で「コレダ」というのが必ずあります。感じるんです。土地というのは購入した瞬間から、金利分の返済が始まります。
だから急いで設計して着工完成させないといけません。
まず購入した土地の近隣にご挨拶に行きます。北側のお隣さん宅にはおばあちゃんがいて、毎日縁側で日向ぼっこをしていました。
それを見て、日影になってしまうのはいけないと思い、3階になる部分を反転させてしまいました。おかげで一番陽当たりの良い南側に階段がきてしまいました。設計は自宅で考え、作図は友人(春木君等)に無料で手伝ってもらい、申請も友人にただ同然でやっていただきました。
当時、仕事が忙しくて、自分では全く動けません。それが自邸計画が延びてしまった一番の理由です。同僚はほとんどマンション(幕張のパティオス)を購入しました。それが一番楽ですから。いや決してマンションを買うのはエセ設計者だと言っているわけではありません。みなさんそれぞれ事情があって自宅を購入するわけですし、世界の安藤忠雄さんもマンションに住んでいます。自分の家ほど面倒な作業はありません。
設計士の「家」というだけで見られ方が違ってきます。
現場が始まれば、毎日現場に足を運び、大工さん、鉄筋屋さん、内装業者さん、建具屋さん、等にジュースの差し入れしたり、お酒を買って持っていったり、気を使ったものです。それまでは、きっと上から目線で業者さんを見ていたのが、自邸計画とともにその見方、見え方が変わっていくのです。
業者さんだって人です。若造が偉そうに「いくらでいつまでに仕上げろ」と言ってたら、人はついてきません。
設計者の性で、工事中にも、気が変わって、現場内で変更したりします。もちろん追加になります。
当時良く飲んでいた先輩(故長生さん)は「借金は女房を質に入れてでも返すもんだ」と言ってました。できなかったら土下座でもしろ、と。
サッシ屋(故三川)さんに、そのお話をしようと、想いを伝えようとしたら、私から言う前に「出世払いでいいよ」と言われ、感謝したものです。その借金まだ払っていません。あの世で返そうと思います。
人生経験からして、私の表情で、わかったのでしょう。
そういういろんな感情のドラマの末に完成するのが自邸です。
前置きが長くなってしまったが、ついに千葉邸の完成です。スタッフが1級建築士になってくれて、今度は自邸完成です。男の人生で一番大きな買い物にチャレンジしてくれました。千葉君らしい自邸です。スキップフロアーをうまく活用しながら狭いながらもいかに広く見せるか?3箇所の天窓からの明かりが空とつながっていきます、空間が横ではなく上へとひろがっていく。
本日は、現場監督や業者さんら、全員集まって、旨いお酒を堪能させていただきました
過去最高に小さいアパートが完成
市川2計画 完成しました
市川2計画 完成しました
久しぶりの手ごたえ、やり応えのあるお仕事に恵まれました。
市川駅から徒歩5分くらいのすばらしい場所。あえて難を言うなら、線路真横ということ。遮音と、電車のスピードでも視認できるデザインでなければ!
収益性重視マンションのデザインの鉄則「ローコストでハイパフォーマンス」。この道で、すでに35年のキャリアです。笑
武者小路、いわく「五意達者」つまり私にとって「この道より我を活かす道無し」・ローコストデザインは手間がかかります・「面倒なことから逃げるな」である。
総武線側に対して、壁はコンクリート打ち放しにしました。開口部は正方形に統一しました。それだけでも、電車から見ると、一瞬「ハァ!」とします。
いかに目にとまるようなデザインにするか?が勝負です。